示量性変数と示強性変数を区別するためには、以下に示すように、全く同じ状態の系を
2つ考えます。
この2つの系をくっつけた時に、その状態量が2倍になれば、その状態量は示量性変数で
あるということが分かります。(量に依存しているということだから)

〜圧力〜
例えば圧力の場合、1atm1atm の系をくっつけると 2atm になるはずがないことは
直観的に理解できると思います。
つまり、1atm1atm の系をくっつけても圧力は変わらないので、

『 圧力 』 は量に依存しない 『 示強性変数 』 だと分かります。

1atm
1atm
1atm

1 L
1 kg

〜温度〜
温度の場合、300K300K の系をくっつけると 600K になるはずがないということも
直観的に理解できると思います。

つまり 『 温度 』 は量に依存しない 『 示強性変数 』 だと分かります。

300 K
300 K
300 K
2 kg

〜質量〜
質量の場合、1kg1kg の系をくっつけると 2kg になることが容易に理解できます。

つまり 『 質量 』 は量に依存する 『 示量性変数 』 だと分かります。

〜体積〜
体積の場合、1 L1 L の系をくっつけると 2 L になることが理解できます。

つまり 『 体積 』 は量に依存する 『 示量性変数 』 だと分かります。

1 kg

1 L
1 J
2 L

〜内部エネルギー〜
内部エネルギーの場合、1 J1 J の系をくっつけると 2 J になるのか?
少し分かりづらいかもしれません。
ただ、『 エネルギーをもったもの 』 と 『 エネルギーをもったもの 』 を足し合わせるのだから、
エネルギーが合計されて2 Jになると理解できます。

つまり 『 内部エネルギー 』 は量に依存する 『 示量性変数 』 だと分かります。

1 J

〜物質量〜
物質量の場合、 1 mol1 mol の系をくっつけると 2 mol になることは容易に理解できます。
なぜなら物質量とは 『 mol 』 のことであり、分子の数を表すからです。

つまり 『 物質量 』 は量に依存する 『 示量性変数 』 だと分かります。


2 J

〜熱容量〜
熱容量の場合、

熱容量とは系の温度を上げるために必要な熱量のことを表しています。

これは少しややこしいです。
1つの系よりも、2つの系を合わせた方が温度を上げるために必要な熱量は大きくなります。

しかし、熱容量がJK1mol1 の単位で表される場合には
この単位は、『1mol あたりでどれだけの熱量を必要とするか 』 という意味になります。
これは物質の性質によって決まるものなので、系の量が増えようが関係ありません。

つまり 『 熱容量 』 は量に依存しない 『 示強性変数 』 だと分かります。

〜濃度・密度〜
濃度(密度)の場合、1 mol L11 mol L1 の系をくっつけると2 mol L1 になるだろうか?

これも少し分かりにくいかもしれない。
しかし、コップにジュースを注いでいったらドンドン味が(濃度が)濃くなるのだろうか?
そんなはずはない。

1 mol L11 mol L1 の系をくっつけても濃度は変わらず 1 mol L1 となる。

つまり 『 濃度 ・ 密度 』 は量に依存しない 『 示強性変数 』 だと分かります。

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